私の挨拶を素っ気なく返し、存在をほぼスルーしたこの人は華音ちゃんのマネージャーの幡野さん。
業界でも顔が利く、かなりのやり手マネージャーだというこの幡野さんは、私が番組MCのアシスタントに決まった時も、最後まで華音ちゃんを推して憚らず、諦めなかったらしい。
番組開始の当初、十八歳だった私は幡野さんに対して、こんな歳の離れた大人からあからさまに敵意を向けられたことは初めてだったので、けっこう本気でビビっていた。
幡野さんとの話が一区切りついたのか、華音ちゃんは私の元に戻ってきた。
「幡野さんの態度…ごめんなさい。また来年もよろしくお願いします。」
華音ちゃんは私に顔を近づけ、ヒソヒソ声で囁くと、足速に去って行こうとする。
正直な所、私はちょっとだけ華音ちゃんの事が苦手だった。
