‘朱理、聞いて。今回共演する麗斗とは、今、付き合っているの───。’
確かに帰り際のあの時、響香は麗斗君を‘麗斗’と呼び捨てにした。
私は一体何に期待して、あの撮影所まで、わざわざ戻ったんだろう。
ひと目見るだけでいい、とか自分は嘘つきだ。
自分にまで嘘をついて、勝手に一人で傷付いて、心底自分はバカだと思った。
響香と栗原さんと別れた後に通った一階の通路とは違い、ここですれ違う人達は知らない人ばかりだった。
でもそれでいい。
だって、泣いてる私の顔なんて酷くて見せられないって思うから───。
響香が私に言った事、それからキャットウォークの上から見たもの全てが私の頭の中をぐるぐると反芻する。
苦しい…。
