帰ろう…。
踵を返して今来たキャットウォークの上をそのまま戻る。
ドアを開け撮影所の外へ出ると、さっき私を呼び止めたスタッフ達は機材と共に既に居なくなっていた。
予想はしていたけどキャットウォークの上は暖房の温もりがほぼ無く相当に寒かった為、ここに戻ってだいぶマシではあるんだけど、それでもやっぱり寒い。
今は寒さがピークを迎える二月だっていうのに、いまだに節電を続けてるんだ、きっと。
‘今回の仕事だけは絶対に成功させたいの───’
そう言った響香の言葉が甦(よみがえ)る。
私にこの撮影現場を見せたかったのは、多分きっと…そういうこと。
響香にとって大切な彼との共演。
もしかすると、もう少し私に時間がある、と言っていたならば、響香は私にこう言って紹介するつもりだったんだろう。
