セット周辺や監督のすぐそばに居たスタッフ達は、肩の荷を下ろしたように安堵の表情を浮かべ、散り散りにその場を離れていく。
「ごめんね!朱理、…ずっと立ったままにさせるはめになっちゃった!」
セットの中から出て、一目散に私のもとに駆け寄る響香。
「ううん。私、ずっと夢中になって見てた。だからずっと立ってた事なんて忘れてて…不思議だね。こんなに夢中になると、時間が凄く短く感じる。」
「え…そう思ってくれてるんだったら私、本当に嬉しい!今日、朱理に見学に来てもらって正解だった…よね?」
「うん!大正解だよ。」
ほんのちょっとだけ、寂しくなったり嫉妬めいた気持ちになった事は内緒で。
それよりも、今の響香の感激している顔を見ていたら、そんなつまらない事なんてどうでもいいと思った。
