「───カット!」
その一声で張り詰めていた緊張感が一気に解け、現場にスタッフのざわめきが戻ってくる。
これがドラマの撮影なんだ……。
私はすっかり夢中になっていて、瞬きするのも忘れていた自分に気づく。
食い入るように眺め、その光景に魅入っていた。
私の近くにいたスタッフ二人が囁き合うように話す声が聞こえてくる。
「やっぱりこの役は鳴海響香で正解だったな。監督があの子にこだわる理由が改めてわかったよ。」
「彼女は本当に久々に現れた逸材だからな〜。今後も期待しかない。いや、マジで。」
私が思っている以上に、響香は皆から、そしてきっと世の中からも評価されていて、きっともうすぐ私の手の届かないような場所に行ってしまう、とか思ってみたり…。
こうやって親友の成功を手放しで喜べないのは、ただ寂しいからってだけじゃない。
絶対、私の中にだって焦りや嫉妬心はある───。
