胡兎は伝票に会計表と一緒に挟んであった店のチラシを見てそう声を上げた。
「もう、今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ?急ごうよ!」
「朱理はいちいちつっかかってくるね〜。別にいいじゃん!」
そう言った瞬間、胡兎は持っていた伝票をうっかり落としてしまった上に、それを拾おうとした際に誤って足で蹴ってしまう。
「あ〜ごめん。やっちゃった…。」
この店はいつ来てもよく掃除が行き届いていて、フロアの床もピカピカに磨かれている。
だから、そのおかげで落とされたプラスチック製の伝票はスーッと床を滑って、今私達が座っていた席を囲う仕切りの植え込みがあるラインの向こう、つまり反対側のボックス席の方まで流れていってしまった。
今度は反対側の席に一番近い場所に居た私が歩いて拾いに行く。
