「簡易版だけどね、業界用に配るそのフライヤー、今日届いたの。」
そう言う柊子さんに私は疑問と不満をぶつける。
「グラディエイトって…確か卒業って意味だよね?なんで入学式シーズンの4月になってからこのタイトルで出すの?」
「しょうがないでしょ。流行り病のせいで世の中のいろんなことが遅れてるんだから。」
シングルにして世に出すリード曲の候補として、この曲以外にも候補はあったけど、そこは大人が決めること。
私達アイドルに決定権は無い。
それに一度動き出したプロジェクトを中断して変更したりするのは、多少のことであっても、場合によっては制作に関わる様々な人にしわ寄せが行くし、それにかかる費用だってバカにならない。
