また、これまで数々のヒット番組を手掛けてきた実績があり、若葉テレビの重鎮のひとり。
その積んできたキャリアと功績の偉大さは、とっくにプロデューサーに出世していてもおかしくない、のにもかかわらず、いまだディレクターの座に甘んじているのは、何よりも番組制作の現場へのこだわりが強いからで、自らプロデューサー昇格の打診を辞退したのだという。
「あ、え〜と、今日はですね、来週、私の所属するグループがゲスト出演するじゃないですか。だからその事前打ち合わせというか…。」
「その事なんだけどな、朱理。申し訳ないが、間に合いそうにないんだ。」
「はい?…あの、間に合わないとは…。」
どうも私はこの犬飼ディレクターとは、微妙に話が噛み合わない事が多い。
