リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜





そろそろ行かなくちゃ。





トイレを出ると、右手に床から天井まで背丈があるガラス窓が貼ってある踊り場のようなスペースがあって、この若葉テレビから東京の街の夜景を一望することができる。




来年の1月下旬にはまたここに戻って来るとは言え、毎週のように見ていたこの景色を今日は今年最後の日なのかと思うと、それなりに感慨深いものがあった。




この大きなテレビ局から見える、眼下の城下町は深夜も眠ることなく、ビルの明かりや看板のネオン、走行する車のライトで煌めき続ける。




初めて番組に出演した日に、ここを見つけた時からずっとこの場所でこの夜景を見る事が私にとっての小さな癒やしだった。






夜景にお別れをして、私は自分の楽屋に戻る──。