三番目に呼ばれた胡兎のヘアメイクが完成し、入れ替わるように私もメイク室に呼ばれる。




楽屋ドレッサーの椅子に座り、鏡と向き合う。




「宜しくお願いします。」





担当のヘアメイクさんも小声で一言お願いします、と呟き早速私のメイクに取り掛かる。




およそアラサーくらいの年齢と思われる、この細身の女性ヘアメイクさんは元々口数が少ないのか、メイク中ほとんど口を開く事は無く、黙々と手を動かし続けた。




これまで私が仕事で関わってきたメイクさんはおしゃべりで明るい人が多くて、こういう無口な人に当たった今回は、こんな感じも新鮮でいいな、とか思ってみたりする。




…………………。




鏡の中であれこれとメイク道具を持ち替えて私の顔を仕上げていく姿は真剣そのもの。