けれども寧音が望まないのであれば私がそれ以上を探る権利もないし、無理矢理心を開かせたところでグループの人間関係、ひいては仕事に悪影響を及ぼしかねない。




私達は友達である前に、仕事仲間なのだ。







「ねぇ、私もひとつ朱理に訊きたいこと、あるんだけど。」





「ん?何?」





「最近、何か私に隠し事してない?」








────鋭い!





寧音の感が鋭いのか、それとも私の態度が怪しかったのか。





「隠し事?そんなのしてないよ。」





必死で動揺を隠し、平常心を装いながらとぼけた顔で答える私の心境は罪悪感でいっぱいだった。




「本当に?」





訝しげな顔で寧音は私の顔を覗き込む。





「うん、本当。」





「それなら良いんだ!疑ってごめん。」





寧音は笑顔を取り戻すと、控え室の真ん中のテーブルの上に用意されていた、小袋の甘いお菓子を開けてひとつ口にすると、もうひとつ小袋を選んで私に勧めてくれる。