あっちの方が胡兎よりも一枚も二枚も上手(うわて)なのは初めから分かっていた話。
それでもまさかここまであの淳平君に、上手く躱(かわ)されつつ籠絡されてしまうなんて…。
胡兎は淳平君に本気なんだろうか?
とにかく今は、胡兎にもう何を言っても無駄だと悟った。
ミイラ取りがミイラになったっていうのはきっとこういう事を言うんだ。
雫に続き、胡兎まで…。
「なんなの?キモいんですけど。」
寧音は憮然とした態度で胡兎にそう言い放つけど、胡兎はそれを無視して相変わらず携帯にばかり気を取られている。
その後スタッフさんが準備が整ったからと、次の順番の胡兎を呼び出しにやって来て、控え室の中は私と寧音の二人になった。
