地味子には秘密があるらしい!

 「知り合いではなくて……なんか、トイレから帰ったら席に座られてて……。帰れないから声かけたら、リュック漁られ始めて……」

 「うーん、状況把握。先生に言っても大丈夫?」

と尋ねれば、恭弥はゆるゆるとかぶりを振った。

そして顔に暗い影を落とし、膝を抱える手に力を込める。

 「あの人のお家、結構大きいみたいで。多分先生に言っても、なにも変わんないと思うし……なんなら更に悪化しちゃうかもって……」

 「そっかぁ……。答えたくなかったらいいけど、恭弥の家は大きい?」

その質問に対し、恭弥はまたも首を横に振る。

 「僕の家は、比較的お金なくて。敵いもしないよ」

 「そっかー。私もそんなに家でかくないからなー。どうしよっか」

状況悪化のリスクを聴いた所で、早速行き詰まる現状。

歯には歯を、目には目を、権力には権力をと思ったが。

私の家は大きくない以前にまず施設だ。ここでの孤児院は権力0に近い。

恭弥もいじめっ子には敵わないようだし。これは困った。

あのアホに道徳を説いても伝わらないだろうし。

これは第三者の力を借りるしかないな、と向き直る。


 「恭弥の周りにはいる?協力してくれそうで、あの七光り野郎を黙らすほどの権力を持った人」

 「頼れそうなのは……一人だけ。でも、その子にこれ以上頼るのは申し訳ないよ」

 「頼れそうなのに?」

 「こーくんには、すでに大きな恩を借りてるんだ。これ以上は……」

恭弥は渋った。

が、私はその『こーくん』とやらに滅茶苦茶頼る気だった。