地味子には秘密があるらしい!

 穏やかな笑みを浮かべ、当たり障りのない対応を心がける。

喧嘩は売らず、荒波は立てぬようにしよう。

慎重に。ただし正義は捨てぬように。

 「あー?なんだよブスの癖に。でしゃばんな地味女」

正義なんか捨てたくなってきた。こいつをぶん殴りたい。

地味なブスとは。数年前までは金髪ヤンキーだったんだぞ。

と叫びたい気持ちをぐっと堪え、密かに拳を握る。

ダメだ、こういう馬鹿は同じ土俵に立つだけ無駄だ。

嫌悪は隠し、大人の余裕を見せてやろう。


 「あー、そうですね。じゃあ行こっか」

とも思ったが、少し素っ気なくなってしまった。

しかし私も彼と同い年のガキだ。しょうがないってことで。

後々倍返しにすると心のメモ帳に書き込み、男子Bの手を引っ張る。

そして人目の付かぬところまで駆け抜け、辿り着いた屋上階段。