地味子には秘密があるらしい!

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 「遊香。映画のチケットが二枚あるんだ。一緒に行かないか?」

 「……二枚?」

 「ああ二枚だ。つまり俺たちしか行けないんだ……」

勉強会の二日後、早朝。

下駄箱で靴を履き替えていれば、偶然にも壱夜と遭遇。

ロッカーを閉じ、チケットを取り出す彼の方を見る。

既に映画は決めているのか。

しかし、好意もない異性と共に映画……

いや、でも考えれてみれば上映中はおしゃべり禁止。

彼と話す必要性はないし、ちょっと見てそのまま帰れば良いのでは?

 「なんの映画ですか?」

作品次第では行こうかな、と訊いてみれば。

 「『傀儡(かいらい)呪物ノ館』という作品だな」

名前からしてホラーだった。しかも王道、呪いの人形系。

しかし、これは貴重な機会かもしれない。

映画を観る習慣も、ましてやホラーを選ぶ機会など私にはなかった。

そう考えると、何気にホラー映画を観に行くのはレアイベント。

 「行きます」

 「本当か!?」

食いつきの良い返事だ。その勢いに驚いてしまう程には。


 それほど私と行きたかったのだろうか……

ああ、また自惚れそうになってしまった。

まだ彼の発言を疑えるうちは、懐疑的になった方が良いだろう。

でなければ恥をかく羽目になってしまう。黒歴史は勘弁だ。

 「もし怖かったら俺の腕にしがみついていいからな」

 「ドリンクホルダーがあるので無理かと……」