地味子には秘密があるらしい!

 「大変申し訳ありませんが、まだお互いのこと知りませんし……」

 「ならお試し期間を作ればいい」

 「え。ああ、いえいえ。岡島先輩にはもっと良いお相手が……」

 「俺はお前がいいんだ。絶対に引き下がらないからな」

うっわめんど〜、と思ってしまうのは私だけではないだろう。

粘着質なのは嫌われますよ、と言ってやりたい。国外追放されてでも言ってやりたい。

しかし孤児院に迷惑はかけられない。

理性を保つよう努め、苛立ちをなんとか抑える。

こうなると、繰り返し断り続けるほか道はない。

それか、この問題を先延ばしにするか___


 「えっと……では、暫く返事は待っていただいても宜しいでしょうか?」

先延ばしにすることにした。

卑怯かもしれないが、経過観察も大切なことだ。

それにこの一瞬で決めるにしては、この問題は大きすぎる。

気楽にOKなどしてしまえば、この先の人生が変動する可能性あり。

住む世界の違う金持ちを警戒し、まずは期間を設けることにした。