地味子には秘密があるらしい!

 「思った以上に責任感強いですね……」

 「無責任な餌やりさんにはなりたくないからねー」

穏やかな笑みでそう語る優貴に反し、眉間に皺を寄せてしまう。

無責任。この言葉で真っ先に思い出すのは若い女のこと。

ああ、嫌でも脳裏によぎる。面倒な人だ、本当___


 長い前髪で目元を隠していると、あ、という声が聞こえてくる。

何かと思い優貴を見れば、餌を完食したにゃっこを指差していた。

満足した様に毛繕いを始めたにゃっこに、頰が緩み始める。

うん、あのことは忘れよう。もう関係のない話だ。

そう気持ちを切り替え、餌皿を片付け始めた優貴に声を掛ける。

 「あの、なにか手伝いましょうか?」

 「いやいや、餌をやったのは僕だから」

と言いながら、立ち上がった彼の手にはゴム手袋が。

マスクもいつの間にかしてるし、スコップも持ってやる気満々。

これがプロか……と羨望の眼差しを送れば、優貴がにこやかに振り向く。