地味子には秘密があるらしい!

 にしても、可愛い猫だ。

雑種かな?猫の種類とか知らないけど……

人馴れしている様だが、よく見てみればその猫には首輪がない。

迷い猫か、捨て猫か、野良猫か……

という無意味な考察の間に、優貴が優しく猫を下ろす。

そしてリュックも地面に下ろし、中からキャットフードを取り出した。

それを一緒に持ってきた餌皿に注ぎ、猫の前に置く。

猫は餌をつついたかと思えば……食べだした!

可愛いな……特別猫派という訳ではないが、癒される……


と頰が緩んできた辺りで、この子について質問。

 「その子、にゃっこって言うんですか?」

 「そうそう、メスの猫ちゃんで……あ!?ごめん忘れてたけど、遊香ちゃんって猫アレルギーとか」

 「ありませんよ。猫は好きです。……あれ、この子の耳……」

にゃっこの食事を眺めながら、彼女の耳を指差す。

私たちから見た右耳、実質左耳がカットされていた。

私が住んでいた地域では猫など見かけなかったし、初めて見る耳だ。

興味を持って訊いてみれば、ああと優貴は頷く。