満が家を出ていき使用人室にて食事をとっている最中

「なぁ悠､本当にいいのかよ？」

「時雨さん…」

「あんな態度とって…満は確かに頼りにもなるし強いと思うよ。
けどあたし達よりも年下なのに考え方が大人すぎる､明らかになにかおかしいでしょ」

「きっと満ちゃんは抱え込みやすいタイプなのでしょうね。けどそれを決して表には出さない､それは弱さを見せることになるから」

「エマ…」

「それにあの時旦那様が来た時にわざわざ私たちから離したのは私たちを傷つけないためでしょうね。」

「…そんな事は知っているよ。
けど！あのまま一緒にいたら満様が傷つくことになるだろ！
俺たちは所詮ただの使用人でしかないんだから！！」
そう珍しく声を荒らげる

「なんだよそれ…！悠､今のは流石にないだろ！！満があたしたちの事を友達って言ってくれて当主様に嫌われても守ってくれたのに！！それを否定するつもりか！？」

「っ…！けど､旦那様の言うことは正しいよ…満様は神宮寺家を継ぐべき存在だ。
きっとこれから色々学ぶことが必要となる､そこに俺たちは居ない。
それにもう分かってるんだ､兄さんはあともう暫くしないうちに神宮寺家へと戻ってくる､そしてそれは旦那様も望んでいることだ。
そうなったら俺の役目は終わりだ､今離れていかないときっと…」

「…別れが寂しくなるから､ですか？
けど私は満ちゃんが来てくれて良かったと思っています
だって､満ちゃんと一緒にいる時の悠くんは神宮寺家に仕える前のように楽しそうに話していたから…
あの日神宮寺家に仕える事になった悠くんは感情をあまり表に出さなくなりました､けど満ちゃんと出会ってからは違う…そうでしょう？」

「分かっているよそんなことは…！あの日満様と出会ってから俺は間違いなく変わっていった…けど！
だからこそ！離れる時は…ひっそり満様が俺の事を忘れて生活できるようにしたいんだ。
思い出になんて残らなくていい…！！全部無かったことにして家族で幸せに暮らしてくれればそれでいいんだよ！！」

「それは満が望んでいるのか？」

「それは…」
佳奈にそう聞かれ思わず口篭る悠だった

「……今はそっとしておきましょう佳奈ちゃん」

「分かった…」
そう言い食器を片付け使用人室を後にした2人だった