満が居なくなった使用人室にて

「悠くん、もしかして満ちゃんの事気にしてますか?」

「……当然でしょう。私たちと仲良くしなければ満様が旦那様に怒られる事は無かった。
私達は使用人と主人なのですよ、それに……」

「それに、いつか別れの時が来るから?」

「っ…!」

「どうゆう事だー?それって」

「そういえば佳奈ちゃんは知りませんでしたね。悠くん話しても大丈夫ですか?」

「満様に言わないのであれば…」

「……元々悠くんは神宮寺家に仕える執事じゃなかったんですよ。」

「えっ…?」

「本来神宮寺家に仕えるのは篠宮家の長男…
篠宮晃さんなんですよ。元々次男である悠くんは篠宮の姓はあるけど普通の子と変わらなかったんです。けど…」
そこまで言うとエマは口を閉じてしまった

「ここからは…私、俺が話すよ。」

「俺が10歳の頃兄さんは重い病気に罹ったんだ、治療法はあるにはあるけどかなり珍しい症例の病気だったのもありしばらく入退院を繰り返してたんだ。
そんな状態じゃ執事としての仕事は無理だろうということになって俺が神宮寺家に仕える事になったんだ。
そして最近兄さんの病状はかなり安定していてだいぶ元の生活に戻れている…そしてそうなると俺はもう神宮寺家に仕える意味は無くなる。
元々兄さんの代用品でしかないから」

「悠……」
普段は明るい佳奈も悠の過去には思わず言葉を失った

「だから、これからあくまで主人と執事、そして君たちとは同僚としてやっていこうと思ったんだよ。けど…」

「満ちゃんはそんなの気にせずにこうして私たちを友達と言い仲良くしている。
そしてきっとこれからも…旦那様に何を言われても私たちと一緒にいる道を選ぶ、だから自ら離れようという事でしょう?」

「やっぱエマには敵わないな……」

「幼なじみ、ですから」

「けど!そんな事したって満は…!!」

「たとえ満様を傷つけることになっても…私は満様の幸せを守りたいんです。」