使用人室にて

「みんな、トランプ持ってきたよ。」
そう言いトランプを差し出す

「おお!あたし神経衰弱なら得意だぞ!!」

「私はかなり久しぶりですね…あまり自信はない、です。」

「とかいってまだ俺たちが小学生の時に派手にババ抜きで負かした事忘れてないからね!?」

「えっ悠って意外と顔に出るタイプ…なの、か?そして敬語外れてるし一人称出てるし…」
そう満がニヤニヤする

「満様!からかわないでください…!」

「なんか執事とお嬢様じゃない時の2人って恋人みたいだよな〜!」
そんな2人を見て佳奈がそんなことを言うと

「はぁ!?何言ってんだ!?」

「そうですよ!何言ってるんですか!!」
2人揃って真っ先に否定するのだった

「それより…!早くするよ。」

「そうですね…!満様の仰る通りです」

「ここで満ちゃんに同意するあたりねぇ…」

「エマが珍しく怪しい微笑みしてんな〜」
怪しい微笑みをするエマに対してそうお気楽に言う佳奈をよそにババ抜きの準備をしていた満と悠だった

「よし準備終わったからそれぞれ好きな手札をとって」

「じゃああたしこれ!」

「私はこれで…」

「じゃあぼくこれ」

「私は最後残ったのを…」
そう言い各々手札をとった

そして順調にババ抜きは進んでいき……

あとは悠と佳奈の2人だけだった

「あ…悠それは取らない方がいいんだぞ」

「じゃあこれで…っ」
佳奈からの言葉を素直に受け取り取らない方がいいと言われなかった方をとると静かに手札をシャッフルした

「悠も分かりやすいな…そして騙されやすい」

「佳奈ちゃんもですけどね……」
そう言うのは最初に上がった満、そしてその次に上がったエマだった

「じゃあこれ!あたしは悠の顔を見ないからな!」
そう言い目を瞑りながら右側のトランプを取る佳奈だった

「……よしっ!!あたしの勝ち!!」

「私やっぱり顔に出やすいんでしょうか…」

「そうだな、めちゃくちゃ分かりやすいなはあと騙されやすい」

「もしかしてあたしも…!?」

「そうですね、佳奈ちゃんもかなり分かりやすいですよ」

「ええっ!?そう?」

「あと反応も大きいなまあリアクションが大きいのは佳奈だけか悠は割とリアクション控えめなイメージあるし」

「そうですか?」

「そうですね…」

「じゃあ次神経衰弱な!あたし負けないから!」

「ぼく記憶力はあまりないんだよな」

「私も…記憶力は苦手ですね……」

「私、記憶力は自信ありますよ、何かと覚える機会が多かったので……」

「さっきとは真逆だな…まあやるか」
そう言いトランプを机一面に並べると使用人室にノックがかかる

「はいどうかなさいましたか?」
悠がドアを開けるとそこには篤がいた

「旦那様…」

「……父さん、何?」

「いいからこっちへ来なさい」

「今、忙しいんだけど」

「たかが使用人共と遊んでるだけじゃないか全く、神宮寺家を継ぐというのにこんな使用人共と遊んでるようじゃ……」
篤の言葉を遮る
「……分かった。説教なら聞くから別の場所にしてあとぼくの友達たちを馬鹿にするな」

「満様…!」

「悠、気にしないでぼくは大丈夫だから」
そう言い使用人室を出ていった