薫人《ゆきと》… 薫人… 薫人…
薫人を思い出す度に哀しみに打ちひしがれてしまう自分がいた… それが薫人への愛情の深さだと思っていた…
無気力はわたしからあらゆるものを奪っていった
あれから1週間が過ぎた頃、薫人の両親からわたしに連絡が入った
薫人《ゆきと》の両親とはお通夜の際に初めて顔を合わせた かける言葉も出ずただ泣き崩れるだけのわたしに優しい言葉をかけてくれた
両親もとても憔悴してるのが見て取れるのに…
わたしから薫人との関係を話すことはしなかった
知ったところで両親からすれば余計に辛くなるだけだ
なのにわたしに連絡があった… 誰かからわたしのことを聞いたのだろうか
薫人の両親はわたしに渡したいものがあるらしい
わたしは両親と約束を取り付け 後日家までお邪魔した



