「もっとなんか言え… こんな若い女子を口説くんだから、おっさんが…」
目に涙をためながら結香が大きな口をたたく
「その前に返事だろが? どうなんだよ?」
「やだ! もっとなんか言え!言え!言え!!」
おれの反応がおもしろいのか結香は駄々っ子のようにおれの言葉をねだる ダメだ…今のおれにはなにをしても結香はただ可愛いだけの存在だ
「おれも結香と一緒の未来が想像できる てか、その未来を見てみたいんよ、まさかこの歳になってもそう思える女に出会えるとは思わんかった」
「へぇー、じゃあ それってわたしに惚れてるってことでいいの?」
「なんだよぉー なにを言わせたいんだよー」
おれの困り顔を見てケラケラわらう結香《ゆいか》
こいつ案外Sっ気だな
「おっさんからかっておもしろいんか??」
「うんっ!!」
くそっ!! イニシアチブ握られてんのなんかムカつくーーー!!!
「じゃあもういいよ…」
「なにぃー、なにスネてんの?」
「スネてなんかないわ!!!」
そう言うか早いかおれは結香の胸元に顔を埋めた
「やんっ、もぉー反則!反則!!」
「からかいすぎだ!! 実力行使してやる!!」
おれは胸元から首筋にかけて舌を這わせる
「ねぇ、やだぁ、ちょっと待ってよぉ…」
「今さら遅ーーい!! おっさんをなめん、な…?」
首筋から結香《ゆいか》の顔を見上げると結香はポロポロと涙を溢してた… 必死に溢れる涙を手の甲で拭っている
「えっ、おい…結香… ごめん、ごめんって…」
「ううん、謝んな… 嬉しいんだ…わたしは」
結香の表情はコロコロと変わる
さっきまで笑ってたかと思ったら今は泣いてる
それでもわかることが、伝わることがある
結香は隠そうともしない喜びに満ちている
それで充分だった…



