すっかり日も暮れた駅までの帰り道
わたしはバッグから薫人のプレゼントの香水を取り出した
香りは確かに似ているがブランドも種類も全然ちがう香水… 花柄のレリーフがあしらわれた小瓶をしげしげと眺める
『わたしのつかってる香水とぜんぜーん ちがうっ!!』
そう言ってやりたかった
『薫人の鼻どーなってんの? 匂いに鈍感なんじゃない??』
わたしのSっ気で攻めてやりたかった…
香水に鼻を近づけ匂いを嗅いだ
薫人がわたしの匂いだと感じた匂い…
薫人を思い出す匂いはなかったけど 薫人のくれた匂いならある
そう思ったのも束の間、おもむろにわたしはその香水を吹きかけ香りを身に纏ってみせた…
「今日からこれがわたしの匂い…
ね? いいでしょ? 薫人《ゆきと》…」
おわり



