目が覚めた時 わたしは部屋で横になっていた
辺りを見回すと 薫人の遺影が目に入った
また涙が溢れる… 壁にもたれかかるように薫人の両親が眠っていた わたしのことを心配してずっと着いていてくれたんだろう…
取り乱したことを恥ずかしく、申し訳なく思った
わたしが上体を起こすと 気づいたのか父親が目を覚まして声をかけてくれる
「大丈夫でしたか… まずはよかった…」
父親の『よかった…』って言葉にまた涙が出る
この期に及んでわたしのことを心配させてしまっていた
いつの間にか母親も目を覚ましていた
「本当にすみませんでした わたしなんかよりご両親の方が哀しんでおられるのに… わたしばかり…」
「もしよろしければ、お話しいただける内容なら手紙の内容をお聞かせいただけないでしょうか?」
母親は目一杯失礼のないようにわたしに伺う
「はい、もちろんです ご両親に内容がわかるかはわかりませんが おそらく薫人《ゆきと》が残した最後の言葉だと思いますので…」
そう前置いてわたしは手紙を読み始めた



