でも私が後ろを振り向いて注意しようとしたタイミングと、後ろから手を出してきた人が飲み物のボタンを押すタイミングが被って、奢り返してもらえば良いかと半ば諦めモード。
ボタンを押されてしまい、飲み物が受取口でガチャンと音を立てるも、私にはその音が耳に入らなかった。
「…いた」
後ろに居たのが、好青年だったから。
もう会えないと思って、あの場所に行くんじゃなかったと後悔したし、好きになるんじゃなかったと自分を責めた。
今、あなたの顔を見たら泣いてしまう。
会えて抱きつきたくなるくらい嬉しいけど、このまま諦めたかった。
忘れさせて欲しかった。
「何で居るんですか…」
失礼な言い方だけど、声に出てしまった。
忘れたかったのに、何故ここに居るの?
「いつ来ても居なかったのに。寂しかったのに…」
「仕事が忙しくて来れなくて。ごめんなさい」



