幼なじみの千隼くんが私たちゲームデザイナーチームのチーフとしてやって来て1週間が経った。
転職してきたばかりのためこの会社のシステムや社員のこと、そして今こなしている制作について彼はまるでスポンジのように吸収していく。
この会社に来てから私は彼と話していない。
確かに初日には目が合ったが、それ以降何かがあるわけではなかった。
「紬希ちゃん。進捗どう?」
「要くん。順調かな〜締切には間に合いそう」
「そっか。俺も順調だよ」
前田要くんは私や真夏ちゃんと同じCGデザイナーとして働く同期だ。
私の隣に真夏ちゃんの席があり、その背中合わせの位置に要くんの席が用意されていた。
現在制作を進めているのは家庭用ゲーム機で遊べるオープンワールドのRPGだ。
最近のゲームは非常に画質もよく、リアルなため制作側のコストがとてもかかる。
特に私たちが担当しているキャラクターのCGはゲームにおいて重要な役割を果たす。
その部分を担う私たちは締切間近になるとかなりスケジュールがハードになる。
私たちCGデザイナー以外にもグラフィックデザイナーやプログラマーなどたくさんの職種たちによって1つのゲームが作られていた。
それだけ膨大な人の力が合わさり、世間にゲームは発表されるんだ。
私たちゲームデザイナーチームのチーフが幼なじみの千隼くんに変わったことにより少しずつ働き方も変わり始めた。
なるべく残業をなくせるように仕事を割り振ってくれたり、誰かに負担がかかるのを防ぐように動いてくれているのが1週間という短い期間だと言うのに伝わる。
それは彼のチーフとしての裁量のおかげだ。
優秀な人材であるのはたった1週間でも伝わった。
「早乙女さんがチーフになってまだ1週間なのにすごいなあの人は。こんな短期間なのに仕事できる人なんだって伝わる」
「ね、ほんとにすごいよね」
要くんと話しながら作業をしていると、グラフィックデザイナーの同僚から呼ばれたようで要くんは席を離れた。
それと入れ替わるように戻ってきた真夏ちゃんが私に詰め寄る。
「ま、真夏ちゃん?どうしたの」
「ねぇつむつむ。早乙女さんの噂聞いた?」
「噂?なんだろう、聞いてないと思う」
「なんかまぁビックリしないというか。あれだけのイケメンだったらそれもそうか、というか」
真夏ちゃんから聞く噂の内容は私の耳を疑うようなものだった。
私の知る彼とは思えないその内容は、思わずクズだと思ってしまう。
「早乙女さん、前の会社でもすごいモテてたらしいけど、毎日隣には違う女の人がいたらしいよ」
「えっ⋯⋯」
「日替わり弁当みたいなんだって。なんて言ったってお願いしたら誰でも抱いてくれるらしいよ」
その噂はあまりにも衝撃だった。
嘘だ、千隼くんがそんなことするわけない、そう言いたかったが、私は彼の10年間を知らない。
私が知らない間に何かがあったのだろうか。
そもそも高校3年生の頃に付き合い始めた彼女とはどうなったんだろう。
私の知る千隼くんは優しくてとてもかっこよくて、大切な彼女を一途に思う人だった。
それがあくまで噂だが、そんな最低な人に変わってしまったなんて信じられない。
「来る者拒まず去るもの追わず、なんだって」
「そ、そうなんだ⋯」
「まぁあんなイケメンならそういう関係でもいいって思う女の人たくさんいそうだよね」
昔から千隼くんはかっこよかった。
同級生からもあんなにかっこいい幼なじみがいて羨ましいと、羨望の眼差しを向けられることも多かった。
そんな彼は幼なじみの私に特別優しく接してくれて、自他ともに認める"特別"だったと思う。
だけどその特別はあくまでも"幼なじみ"としてで、唯一無二の恋人の立場として私が選ばれることはなかった。
それでも幼なじみとして近くにいられればいいと当時は思っていたのに。
千隼くんに選ばれた女の子のことを彼はとっても大切にしていた。
一途に想い、私が入る隙間なんてないと思えるくらい2人は想い合っていたのに。
そんな千隼くんが誰とでも寝る人だなんて、信じられなかった。
転職してきたばかりのためこの会社のシステムや社員のこと、そして今こなしている制作について彼はまるでスポンジのように吸収していく。
この会社に来てから私は彼と話していない。
確かに初日には目が合ったが、それ以降何かがあるわけではなかった。
「紬希ちゃん。進捗どう?」
「要くん。順調かな〜締切には間に合いそう」
「そっか。俺も順調だよ」
前田要くんは私や真夏ちゃんと同じCGデザイナーとして働く同期だ。
私の隣に真夏ちゃんの席があり、その背中合わせの位置に要くんの席が用意されていた。
現在制作を進めているのは家庭用ゲーム機で遊べるオープンワールドのRPGだ。
最近のゲームは非常に画質もよく、リアルなため制作側のコストがとてもかかる。
特に私たちが担当しているキャラクターのCGはゲームにおいて重要な役割を果たす。
その部分を担う私たちは締切間近になるとかなりスケジュールがハードになる。
私たちCGデザイナー以外にもグラフィックデザイナーやプログラマーなどたくさんの職種たちによって1つのゲームが作られていた。
それだけ膨大な人の力が合わさり、世間にゲームは発表されるんだ。
私たちゲームデザイナーチームのチーフが幼なじみの千隼くんに変わったことにより少しずつ働き方も変わり始めた。
なるべく残業をなくせるように仕事を割り振ってくれたり、誰かに負担がかかるのを防ぐように動いてくれているのが1週間という短い期間だと言うのに伝わる。
それは彼のチーフとしての裁量のおかげだ。
優秀な人材であるのはたった1週間でも伝わった。
「早乙女さんがチーフになってまだ1週間なのにすごいなあの人は。こんな短期間なのに仕事できる人なんだって伝わる」
「ね、ほんとにすごいよね」
要くんと話しながら作業をしていると、グラフィックデザイナーの同僚から呼ばれたようで要くんは席を離れた。
それと入れ替わるように戻ってきた真夏ちゃんが私に詰め寄る。
「ま、真夏ちゃん?どうしたの」
「ねぇつむつむ。早乙女さんの噂聞いた?」
「噂?なんだろう、聞いてないと思う」
「なんかまぁビックリしないというか。あれだけのイケメンだったらそれもそうか、というか」
真夏ちゃんから聞く噂の内容は私の耳を疑うようなものだった。
私の知る彼とは思えないその内容は、思わずクズだと思ってしまう。
「早乙女さん、前の会社でもすごいモテてたらしいけど、毎日隣には違う女の人がいたらしいよ」
「えっ⋯⋯」
「日替わり弁当みたいなんだって。なんて言ったってお願いしたら誰でも抱いてくれるらしいよ」
その噂はあまりにも衝撃だった。
嘘だ、千隼くんがそんなことするわけない、そう言いたかったが、私は彼の10年間を知らない。
私が知らない間に何かがあったのだろうか。
そもそも高校3年生の頃に付き合い始めた彼女とはどうなったんだろう。
私の知る千隼くんは優しくてとてもかっこよくて、大切な彼女を一途に思う人だった。
それがあくまで噂だが、そんな最低な人に変わってしまったなんて信じられない。
「来る者拒まず去るもの追わず、なんだって」
「そ、そうなんだ⋯」
「まぁあんなイケメンならそういう関係でもいいって思う女の人たくさんいそうだよね」
昔から千隼くんはかっこよかった。
同級生からもあんなにかっこいい幼なじみがいて羨ましいと、羨望の眼差しを向けられることも多かった。
そんな彼は幼なじみの私に特別優しく接してくれて、自他ともに認める"特別"だったと思う。
だけどその特別はあくまでも"幼なじみ"としてで、唯一無二の恋人の立場として私が選ばれることはなかった。
それでも幼なじみとして近くにいられればいいと当時は思っていたのに。
千隼くんに選ばれた女の子のことを彼はとっても大切にしていた。
一途に想い、私が入る隙間なんてないと思えるくらい2人は想い合っていたのに。
そんな千隼くんが誰とでも寝る人だなんて、信じられなかった。
