君が最愛になるまで

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「ねぇねぇ今日だよ!つむつむ」

「おはよう真夏(まなつ)ちゃん。そういえばそうだったね忘れてた」


明るめの茶髪の髪を緩く巻き、後ろで一つ結びした元気な女の子は私の会社の同期の筧真夏(かけいまなつ)ちゃんだ。
仲良くなった子のことを愛称で呼ぶのが彼女の特徴で、私のことは《《つむつむ》》と呼んでくれる。


私はCGデザイナーの職種に就いているが、所属する部署はゲーム部門となっている。
ゲーム制作過程でのCGデザインを担当しており、今日はそんなゲームデザイナーチームのチーフ兼CGデザイナーが新しくやって来る日だ。


なんでも某有名なゲーム会社で働いていた仕事ができる人らしく、うちの会社がかなり時間をかけて引き抜いたらしい。
一体どんな人が来るのか、楽しみだった。


ゲーム部門のチーフと一緒にやって来た男はカジュアルなスーツに身を包み、焦げ茶の髪を整え、耳元にはピアスが輝くその男性はかなりのイケメンだ。
色気が漂い短めの髪をしっかりと整えたその人は、ゲームデザイナーの私たちの前に立つとふわりと微笑む。


早乙女千隼(さおとめちはや)です。よろしくお願いします」


ふわっと微笑む彼の笑みにどれだけの女性社員が心臓を撃ち抜かれただろう。
隣でイケメンだな〜なんて言ってる真夏ちゃんの言葉は私の耳には届かなかった。


(どうしてここに?なんであの人が⋯⋯)


私の頭の中はごちゃごちゃになっており、思考がまとまらない。
こんな形で再会するなんて思ってもいなかった。


妖艶な笑みを浮かべて微笑む彼と間違いなく私は目が合った。
彼はふわりと口角を上げて微笑むと、他の社員たちに視線を向ける。


忘れるわけがない。
私が物心ついた時から一緒にいた大切で特別な幼なじみ。


「なんで⋯⋯」


再会した初恋の幼なじみの彼は私の上司として10年振りに姿を現した。
やっと前を向こうと決意したばかりなのに。


どうしてこのタイミングで再会させるの。
こんな未来、望んでなかったのに。


このタイミングで彼と再会させる神様は、なんていじわるなんだろう──。