叶うことのない思いなんだから、もう前を向くべきなのに。
いつまで私を捉えて離さないんだろう。
いつまで私の足枷になるんだろう。
もう前を向いて歩んでいきたいのに。
「紬希にとって彼への初恋が大切なのは知ってるよ。でも和樹くんは紬希のこと本当に好きだったと思う」
「うん⋯⋯」
「それで紬希も和樹くんが好きだったと思うよ。現に今、そうやって泣いてるんだから」
「えっ⋯⋯」
沙羅ちゃんに言われて気づいた。
私の頬を伝う温かい水分がとめどなく流れて止まらない。
泣く資格なんてないって分かってるのに、私の目からは涙が溢れて止まらなかった。
ちゃんと涙が出てくるくらいには和樹のことが好きだったんだと、今更気づいた。
「私、好きだった⋯⋯っ。和樹のこと、好きだったよ⋯」
「うん。そんだけ泣けるってことは好きだったってことだね」
沙羅ちゃんが私の身体をぎゅっと抱き締めてくれた。
その体温がすごく温かくて更に私の目からは涙が溢れる。
「だからこそ、紬希は前を向かないと。和樹くんが紬希にかけてくれた言葉を大切に、乗り越えて前を向いて」
「⋯うん⋯っ」
幼なじみへの初恋をちゃんと過去のものにする。
そう決意できたのは私の隣で厳しくもいつも正しい言葉をかけてくれる沙羅ちゃんがいるからだ。
私はいつも沙羅ちゃんに救われている。
今もこうして私の隣でたくさんの言葉をかけてくれていた。
「ほんと不器用だねぇ紬希は。まぁこっからは完全に紬希の味方的発言すると、うまく隠さないと。初恋を引きずるのも別にいいけど、バレちゃダメでしょ」
「う⋯⋯仰る通りです」
「そんなに忘れられない?」
「⋯物心ついた時から一緒にいた幼なじみなんだよね。気づいたら好きになってた。当たり前のように幼なじみとしてずっと近くにいると思ってた」
だけど彼は地元から離れた大学に通い始めたことで私たちが会うことはなかった。
そして私の初恋は叶わなかった。
幼なじみの彼が選んだのは高校の同級生の女の子で、私とは正反対と言えるような可愛らしい花みたいな子だった。
その子とは大学に入っても付き合い続けていると聞いたけど、それ以降は連絡も取っていないためどうなったかは知らない。
だけど私の人生に彼は確かに大きく影響していた。
ずっと昔に彼と話した会話を思い出す。
"俺将来はゲーム関係の仕事に就きたいんだよね"
"そうなんだ!なら私もゲーム好きだから一緒に仕事する!"
"お、紬希も一緒にやってくれるのか。なら将来一緒に仕事できたらいいな"
"うん、待っててね!"
そんななんでもない会話を私はずっと大切に、こうしてCGデザイナーの仕事に就いた。
どこかで彼にまた会えるかもしれないと、そんな叶うはずのない淡い期待を抱いて。
彼もまた私と同じような仕事に就いてくれているんじゃないかと、そんな願いのような縋る気持ちが女々しくてみっともない。
彼に会えなくたってどこかで幸せに生きてくれてればそれでいい。
そう思えるようにゆっくり彼との思い出を過去にしていこう。
そう心に決めた。
「紬希。今日泊まってく?」
「え、いいの?」
「お酒、買いに行こっか。あとはつまみも」
「私おつまみ作る!」
「え、ほんと?楽しみなんだけど嬉しい」
実家を出てからも長いため私は料理をするのが好きだ。
今日はなんでも話せる沙羅ちゃんと夜まで語り合おうと思った。
きっと全て沙羅ちゃんの優しさや気を使ってのことだと思うけど、それがじんわりと心に広がって温かくなる。
その日、私は沙羅ちゃんと時間を忘れてお酒を楽しんだ。
沙羅ちゃんよりは強くないが人並みには飲めるため、私たちは色んな話をしながら夜を過ごす。
私の運命が変わるのは、もうそこまで来ていた───。
いつまで私を捉えて離さないんだろう。
いつまで私の足枷になるんだろう。
もう前を向いて歩んでいきたいのに。
「紬希にとって彼への初恋が大切なのは知ってるよ。でも和樹くんは紬希のこと本当に好きだったと思う」
「うん⋯⋯」
「それで紬希も和樹くんが好きだったと思うよ。現に今、そうやって泣いてるんだから」
「えっ⋯⋯」
沙羅ちゃんに言われて気づいた。
私の頬を伝う温かい水分がとめどなく流れて止まらない。
泣く資格なんてないって分かってるのに、私の目からは涙が溢れて止まらなかった。
ちゃんと涙が出てくるくらいには和樹のことが好きだったんだと、今更気づいた。
「私、好きだった⋯⋯っ。和樹のこと、好きだったよ⋯」
「うん。そんだけ泣けるってことは好きだったってことだね」
沙羅ちゃんが私の身体をぎゅっと抱き締めてくれた。
その体温がすごく温かくて更に私の目からは涙が溢れる。
「だからこそ、紬希は前を向かないと。和樹くんが紬希にかけてくれた言葉を大切に、乗り越えて前を向いて」
「⋯うん⋯っ」
幼なじみへの初恋をちゃんと過去のものにする。
そう決意できたのは私の隣で厳しくもいつも正しい言葉をかけてくれる沙羅ちゃんがいるからだ。
私はいつも沙羅ちゃんに救われている。
今もこうして私の隣でたくさんの言葉をかけてくれていた。
「ほんと不器用だねぇ紬希は。まぁこっからは完全に紬希の味方的発言すると、うまく隠さないと。初恋を引きずるのも別にいいけど、バレちゃダメでしょ」
「う⋯⋯仰る通りです」
「そんなに忘れられない?」
「⋯物心ついた時から一緒にいた幼なじみなんだよね。気づいたら好きになってた。当たり前のように幼なじみとしてずっと近くにいると思ってた」
だけど彼は地元から離れた大学に通い始めたことで私たちが会うことはなかった。
そして私の初恋は叶わなかった。
幼なじみの彼が選んだのは高校の同級生の女の子で、私とは正反対と言えるような可愛らしい花みたいな子だった。
その子とは大学に入っても付き合い続けていると聞いたけど、それ以降は連絡も取っていないためどうなったかは知らない。
だけど私の人生に彼は確かに大きく影響していた。
ずっと昔に彼と話した会話を思い出す。
"俺将来はゲーム関係の仕事に就きたいんだよね"
"そうなんだ!なら私もゲーム好きだから一緒に仕事する!"
"お、紬希も一緒にやってくれるのか。なら将来一緒に仕事できたらいいな"
"うん、待っててね!"
そんななんでもない会話を私はずっと大切に、こうしてCGデザイナーの仕事に就いた。
どこかで彼にまた会えるかもしれないと、そんな叶うはずのない淡い期待を抱いて。
彼もまた私と同じような仕事に就いてくれているんじゃないかと、そんな願いのような縋る気持ちが女々しくてみっともない。
彼に会えなくたってどこかで幸せに生きてくれてればそれでいい。
そう思えるようにゆっくり彼との思い出を過去にしていこう。
そう心に決めた。
「紬希。今日泊まってく?」
「え、いいの?」
「お酒、買いに行こっか。あとはつまみも」
「私おつまみ作る!」
「え、ほんと?楽しみなんだけど嬉しい」
実家を出てからも長いため私は料理をするのが好きだ。
今日はなんでも話せる沙羅ちゃんと夜まで語り合おうと思った。
きっと全て沙羅ちゃんの優しさや気を使ってのことだと思うけど、それがじんわりと心に広がって温かくなる。
その日、私は沙羅ちゃんと時間を忘れてお酒を楽しんだ。
沙羅ちゃんよりは強くないが人並みには飲めるため、私たちは色んな話をしながら夜を過ごす。
私の運命が変わるのは、もうそこまで来ていた───。
