「椿さん。前から思っていたが、たまには君にも育児から解放される日があったっていいと思うぞ?」
「私は翔真に淋しい思いをさせたくないの。」
「翔真だってこれからどんどん自分の世界を持つようになる。現に今日だって椿さんがいなくても友達と楽しんでいるわけだろ?それに椿さんが伸び伸びと元気に過ごすことは翔真の為でもある。」
「翔真の為・・・?」
「そう。親の幸せは子の幸せでもあるんだ。」
「・・・・・・。」
「今日はその一歩だ。椿さんが一番楽しいと思うところへ行こう。俺もお供するから。」
「・・・龍さん。出張帰りで疲れているんじゃないの?」
椿の心配そうな顔に、龍がガッツポーズをした。
「昨夜、しっかり休んだから大丈夫。それに俺はまだまだ若いからな。」
龍の言葉に椿はクスっと笑った。
「私も同じ歳なんですけど。」
そうね・・・
自分のために時間を使うことなんて、信が亡くなってからずっと忘れていた。
たまには翔真がいない休日を思いっきり楽しむのもいいかもしれないな・・・



