龍は顔色を変えて椿に訴えた。 「椿さん。誤解だ!あの女性は親父の秘書で、今日はたまたま家まで送ってもらっただけだ。」 「あなたは彼女でもない女に、頭を触らせるの?」 「あれは俺の髪に糸くずがついていたのを取ってもらっていただけだ。それに彼女にはもう夫がいる。」 「・・・ふーん。そうなんだ。まあ、私には関係ないけど。」 椿はそう言ってそっぽを向いた。 しかし言葉とはうらはらに、椿の心から霧が晴れた。