「ちょっと!」
「翔真は?」
「残念だったわね。翔真はお友達家族と一緒に出掛けているの。」
「じゃ、今日は椿さんひとり?」
「そうだけど。」
すると龍は照れくさそうに、にこりと笑って言った。
「椿さん。今日は俺とデートしない?」
「は?!」
「俺、実はずっと思ってたんだ。椿さんと一緒にどこかへ出掛けたいって。いや、翔真は可愛い。しかし椿さんとふたりきりというのはまた格別というかなんというか・・・。」
「何言っているの?仕事なんて嘘でしょ?さっきまで彼女と一緒にいたくせに。私、窓から見たのよ?・・・あなたと彼女が車で親しげにしているところを。それなのに今度は私と出掛けたいってどういう神経してるわけ?」
そう言ってしまってから、椿はハッとした。
これではまるで焼き餅を焼いているみたいじゃない・・・



