翔真は夜9時まで帰って来ない。

ぽっかり空いた久しぶりの一人きりの時間。

さて、何をしよう。

動画配信サービスで映画でも観ようかな・・・

そんなことを思っていると、ピンポンとチャイムが鳴った。

ドアスコープを覗くと、龍が紙袋を持って立っている。

大方、旅行の土産を持ってきたというところだろう。

どうしようもなく腹が立っていた椿は、居留守を使おうと、そのチャイムを無視した。

ドアの向こうの龍の姿に、少しの罪悪感と安堵がよぎる。

しばらくするとチャイムは鳴り終わり、椿はふうっと息を吐いた。