「椿さん、シャンパンもあるんだ。一緒に飲もう。」
龍がシャンパングラスを椿に手渡す。
「では・・・椿さんの美しさに、乾杯。」
そう気障な言葉を囁き、龍は椿のシャンパングラスに自分のグラスを合わせた。
「恥ずかしいこと言わないでください。」
椿はそう言いながら、グラスの中の美味しそうなシャンパンを眺めた。
・・・わかってる。
龍さんが私と翔真を餌付けしようとしてることなんて。
わかってるけど・・・きっとこのシャンパンも最高ランクなんでしょ?
ええい、ままよ。もう飲んでしまえ!
シュワシュワとした甘くてほろ苦さもあるシャンパンが喉から体中を駆け巡る。
「美味しい・・・」
「気に入って貰えて良かった。これは椿さんの為に買ってきたものだからな。」
椿は酒が好きだが、信は下戸だったし、翔真を産んでからというものの飲むのを控えていた。
久しぶりのアルコールが椿の脳と身体を麻痺させる。
ああ・・・いい気持ち・・・



