「椿さん!・・・今夜はすき焼きにするんだが、君も翔真と食べに来ないか?」
「え・・・?」
「A5ランクの神戸和牛とシャンパンを手に入れたんだ。一人で食べるのはもったいない。」
「・・・・・・。」
「俺の引っ越し祝いってことでさ。な、頼むよ。」
・・・だからずるいって。
信に似たその目で頼まれたら断れない。
それにすき焼きは翔真の大好物だし・・・
「わかった。ご馳走になるわ。」
きっとわざわざ翔真の為に用意してくれたのよね。
「じゃあ、用意できたら声かけるから。よろしく。」
龍はそう言うと満足げに背を向け、浮かれ足でレジの方へ歩いて行った。
こんなスーパーの激安商品を買うかと思ったら、Aランクの牛肉を食べようだなんて。
龍さんて可笑しな人・・・
でもなんだか憎めない。
椿は思わずクスリと笑ってしまった。



