「なるほど。カルボナーラと飯の融合か・・・。面白い。買っていこう。」

「龍さん?!」

龍は迷いもせずに「カルボナーラ飯」を買い物かごに放り込んだ。

今日の龍の服装は紺色のポロシャツにジーンズと、かなりカジュアルだ。

しかし幸枝にはいつも自分が目撃していた人物だとすぐにわかったらしい。

幸枝がニヤニヤしながら、椿に耳打ちした。

「久我山さんやるわねえ。もうあのスパダリとお近づきになったの?」

「違うの!この人は・・・親戚なの。」

「いつも椿さんがお世話になっています。俺は椿さんの義兄(あに)、久我山龍と申します。まあ、もうすぐ夫になる予定ですが。よろしくお見知りおきを。」

「ええ?!」

幸枝の雄叫びに椿は両手を振った。

「嘘よ!もう・・・お義兄(にい)さんたら冗談ばっかり言って!」

椿は龍の腕を強くつねった。

「痛っ!」

「こちらこそ!私は久我山さんと一緒に働いている吉村と申します。いつも久我山さんとは仲良くさせて頂いてます。」

「ちょっと椿さんをお借りしてもよろしいですか?」

「どうぞどうぞ。久我山さん、ここは私がやっておくから。」

幸枝はそう言って椿に親指を立ててみせた。

「吉村さん。ごめんなさいね。すぐ戻ってくるから。」

そう幸枝に謝り、その後龍を見上げた椿は、目を吊り上げた。