「隣に誰か引っ越してくるみたいね。」

椿の言葉に翔真は目を輝かせた。

「友達が出来るかな?」

「うーん。どうだろうね?」

翔真の楽観的な期待とはうらはらに、椿は物音に敏感だったり、ゴミ出しがいい加減な住人が来なければいいと、つい悲観的に考えてしまった。

しかし、翔真を育てる親として、周囲の人間が危険ではないかと警戒するのは当然のことだとも思った。

椿は玄関を静かに閉め、翔真とともに部屋へ戻った。

もし若い住人なら、挨拶に来ない可能性もある。

隣にどんな人間が越してきたのか、椿は気になって仕方がなかった。