「結論から話すのは俺の悪い癖だ。それは謝る。」
龍が恭しく頭を下げると、椿は訝しげに目を細めた。
龍は胸ポケットから名刺入れを取りだし、そこから名刺を引き抜き、椿の前に置いた。
名刺には「私立久我山学園東京校高等部教諭 久我山龍」と黒々とした文字が並んでいた。
「久我山学園・・・」
椿でも知っている超有名校だ。
国内屈指の私立学園で、野球やサッカー、マラソンと言った体育会系競技で優勝したと言うニュースをよく耳にする。
偏差値が高い難関校でもあり、トップクラスの大学への進学者も多い。
久我山学園・・・久我山龍・・・そして久我山信・・・もしかして・・・
「久我山学園の理事長は俺の父だ。俺も今は教師として籍を置いているが、そう遠くない未来にその職を受け継ぐだろう。」



