「だから・・・どんな話なんですか?」

椿の問いに龍は強く言った。

「それは会ってから詳しく話すつもりだ。」

相手はどんな人間なのかわからない。

やっぱり詐欺かもしれないし、危ない人間かもしれない。

けれど翔真のことと言われ、このまま放っておくのはもっと危険かもしれない。

「・・・わかりました。」

「明日はちょうど休日だ。君の仕事は休みだろうか?」

「休みですけど・・・」

「明日の午後3時に都合はつくか?」

「・・・はい。」

翔真は隣町に住む母に預けよう。

「待ち合わせ場所はショートメッセージで送る。では明日、よろしく頼む。」

「あの・・・」

「なんだ?」

「私の電話番号、どこで知ったんですか?」

椿の問いに龍はフッと笑った。

「君は世間知らずだな。それくらい、調べる気になればいくらでも情報が手に入る世の中だぞ?」

「・・・・・・。」

「では、明日。すっぽかされたら、俺は何度でも君に電話するからな。」

それだけ言い残し、龍は電話を切った。

龍なんていう名前のくせして、蛇みたいに執念深い人ね。

釈然としない気持ちを胸に、椿はスマホをじっと睨んだ。