「ママ、どうしたの?お腹痛いの?」
よっぽど顔をしかめていたのだろう。
翔真にそう心配されてしまい、椿は笑顔を浮かべた。
「ううん。大丈夫。ごめんね。心配かけて。」
「どこか痛かったら言ってね。僕が病院へ連れて行ってあげるから。」
「翔ちゃん・・・」
翔真の優しさに胸が温かくなった。
「翔ちゃん、お絵描き好き?」
「うん。まあ、好きかな。」
「そっか。」
「ママの絵も保育園で一杯描いたよ。」
「そう。今度見せてね。」
「うん。」
春の夜風に吹かれながら、無邪気にそう言う翔真の小さな手を、椿はぎゅっと握った。



