「でも・・・翔真はまだ5歳ですし・・・。」

椿が言葉を濁すと、真名も何かを察したのか、穏やかに言った。

「そうですね。ご家庭の都合もありますでしょうし、無理強いはしません。でもこれだけは言えます。翔真君には多大なる絵の才能が確実にあります。その芽に水を与えないのは本当にもったいないことです。」

「はい・・・。」

「もし久我山さんにその気があれば、私はいくらでも口添えします。今日はそのことをお伝えしたくて。お時間取らせてしまい申し訳ありませんでした。」

椿は大きく首を横に振った。

「いえ・・・。翔真にそんな才能があるなんて、私には気づけませんでした。教えて頂きありがとうございました。」