龍は信の写真立てを手に取った。 幼い日の信の声が、心に蘇る。 『おにいちゃーん。みーつけた!』 「・・・隠れていたのは、お前の方だろ?」 龍は信の笑顔の写真にそう語りかけ、そっと目を閉じた。 そのとき仏壇に供えた菊の花が、かすかに揺れた。 fin