その日、椿が家に帰ると部屋が暗くなっていた。
「翔真?いないの?」
椿が部屋の電気を付けると、クラッカーの音が鳴り響いた。
「椿さん、誕生日おめでとう!」
「ママ、おめでとう!」
テーブルにはピザやポテトサラダやオードブル、デコレーションケーキまである。
「そっか・・・。私、今日誕生日だったっけ。」
「そう。俺と同じ34歳。」
「ふたりで用意してくれたの?」
「ああ。これは俺と翔真で一緒に選んだプレゼント。」
龍から手渡されたものは、包装紙に包まれ赤いリボンが掛けられた小さな箱だった。
「開けて見てもいい?」
「勿論。」
箱の中にはハートの形をしたイエローゴールドのペンダントが入っていた。
「ママ。つけてみて。」
翔真にそう促され、椿がペンダントを取り出すと、龍が手のひらを出した。
「俺がつけよう。」
「・・・じゃあ、お願いします。」
椿は龍にペンダントを手渡した。
龍は器用な手つきで、椿の首の後ろでペンダントの留め具を付けた。
「どう?」
「ママ似合う!」
「うん。美しい椿さんにぴったりだ。俺と翔真のセンスがいいからだな。」
「ふたりとも、ありがとう。本当に嬉しい・・・」
「着替えておいで。一緒にお祝いしよう。」
「うん。」



