龍と再婚した椿は、翔真と三人で住める一軒家に引っ越した。
ごくシンプルな洋風建築の家だが、ひとつだけこだわりがあった。
それは広いアトリエがあることだ。
アトリエには龍が描いた椿の絵が、一番目立つ場所に飾られている。
その横には翔真が描いた椿の絵もあった。
龍も翔真も暇さえあれば、そのアトリエで絵を描いている。
夢中で絵を描くふたりを眺めるのが、椿の幸せのひとときだ。
椿もふたりにつられて絵を描くようになった。
龍や翔真の絵と比べ、自分にはその才能がないと思い知らされる。
龍は椿の絵を見て「うん。味がある。椿さんにしか描けない絵だ。」と褒めてくれる。
しかし翔真は「ママはもっとデッサンの勉強をした方がいいよ。」と手厳しい。



