龍は身体を椿の方へ向け、立ち上がった。

そして椿の身体をそっと優しく包んだ。

「もうとっくに、俺は椿さんを本気で愛してる。」

「・・・え?」

「俺が本当に欲しかったのは椿さん、君だ。君が翔真を育てながらひたむきに生きる姿が俺には眩しかった。もっと近くで見ていたいと思った。君のそばにいれば、人を愛するとはどういうことかを知ることが出来るかもしれない・・・そう思った。」

「・・・・・・。」

「信の代わりでもいい、そう思っていた。・・・でもいつしか俺は、信よりも君に愛されたくなってしまった。片想いがこんなにも苦しいものなんだって初めて知ったよ。」

「・・・違う。」

椿は大きく首を横に振った。

「信の代わりなんかじゃない。私は龍さんが・・・あなたが好きなの。」

椿の目から涙が溢れて止まらない。

「龍さん・・・私を置いて行かないで・・・」