「龍さん。」

「ん?」

「私と翔真の前から消えてしまうつもりですか?」

「・・・・・・。」

龍は否定も肯定もしない。

「私の絵を描きたいだなんて・・・きっと私を思い出にしようとしているんじゃないかって・・・そう思った。違う?」

黙り込んでしまった龍に、椿は穏やかに語りかけた。

「信じゃなく・・・龍さんがお義母様の実の子供だったのね。」

龍はハッとした顔をした後、苦笑いした。

「陽子さんに聞いたのか?」

「・・・うん。」

「そうか・・・。なら話は早い。」

椿は椅子から立ち上がった。

「龍さん・・・あなたは信を恨んでいてもおかしくないのに、どうして信の家族である私達に優しくしてくれるの?

どうして私にプロポーズなんてしたの?

どうして翔真を自分の子にしたいだなんて言ったの?

ねえ・・・どうして?」