それから椿は、日曜日の午後をモデルとして、龍が草壁銀として使っている教室へ通うことになった。

その間、翔真は母奈々子に預けることにした。

これまで一度も来たことの無かった龍の絵画教室『アトリエ銀』は、絵の具の匂いに満ちていた。

その空間は絵を愛する者達が醸し出す独特の温かさがあった。

いくつもの木材のイーゼルに、生徒達の絵が描かれているスケッチブックが固定されている。

そこには翔真が描いている猫の置物の絵もあった。

壁にも沢山の生徒達の作品が貼られている。

そのどれもが個性豊かで、椿の目を楽しませてくれた。