深く息を吐き、泣き止んだ陽子は椿をみつめ、意を決したように話し始めた。 「先日、奥様が翔真君を見て龍様のお名前を呼びました。それを聞いて、私は胸にこみ上げる思いを押さえることが出来ませんでした。あれを見た龍様のお気持ちを思うと、私は・・・。」 陽子は再び鼻を啜った。 「陽子さんは、お義母様が翔真を『龍』と呼んだ理由がわかるのですか?」 「はい・・・私なりの解釈ですが・・・。」 そう言って陽子は、静かに語り出した。