写真をかき分けていくと、箱の底にポケット式の小さなアルバムが見つかった。

信がアルバムに入れて置くなんて、よっぽど大切な写真なのだろうか?

椿は好奇心にかられ、そのアルバムを開いた。

そこには少年の写真が入っていた。

信に良く似ているが、よく見ると別人だということがわかる。

信は小さな頃から目が悪く、眼鏡をかけていたと言っていた。

しかしここに写っている少年は眼鏡をかけていない。

それに信とは全く違う雰囲気を漂わせている。

控えめで表情が乏しかった信とは違い、この少年は口を大きく開けて笑っていたり、ニヤリとポーズを取ってみたり、ふざけてダブルピースをしてみたり、なかなか忙しい。

それらの中に、自作であろう絵画をバックに、その少年が誇らしそうな顔をしている写真があった。