「龍・・・?」

その場にいる一同が耳を疑った。

名前を呼ばれた龍は、沙織の行動を固唾を呑んでただみつめていた。

沙織は翔真に手招きした。

「もっと側にきて、顔を見せて頂戴。」

翔真はおずおずと沙織が座る車椅子に近寄って行った。

その後ろを椿も付いて行く。

沙織は翔真の頬を触り、そっと撫でた。

「龍・・・あなたどこへ行っていたの?探したのよ?」

「僕、翔真だよ?」

「ううん。あなたは龍。私の子供よ。」

沙織は愛おしそうに、翔真の手を握った。

車椅子の後ろにいる陽子は、俯き、肩を震わせていた。